夏野菜真っ盛り(農大70,73,74日目:栽培実習)
今回も真夏の栽培実習のお話しです。
基本は果菜類の収穫と管理ですが、合間に技術センターに行ったり、台風が迫ってきたので台風対策したりと大忙しでした。
長くなりますが、お付き合いくださいm(__)m
■夏野菜を楽しみつつ、秋野菜に備える(農大70日目 8/1)
朝一情報共有から。
先日担当畝制度が始まったので、時間外とかにどんどん管理しましょうね!という話から、有機圃場に鶏糞10kgを追肥し、灌水もおこなったところ、すごく効果が出てきたという話を聞いて、最後に農家発の農産物の新しい表示方法(Food ID)をひまわり市場で実験中(例 : 減農薬、タネの由来、温度差、標高等)で検索)といった話を聞きました。
また、販売実習に向けて事前にメディアへの投げ込みをしたい場合は、イベント5日前までに県庁記者室にイベント概要資料を持っていけば、記者さんの目に留まるかも!?という話も聞きました。この点は、就農後も何かイベントをたくらむ時に利用できるかもな~なんて思いながら聞いてました。
さて、ここまで話を聞いたら、次は実際の作業。
果菜類の収穫です。
スイートコーン、ナス、キュウリ、トマト、ズッキーニをどんどん収穫します。
有機圃場についても、作物の状態を見ながらトマト、キュウリを収穫。
収穫したものについては、市場に出荷するので、調製(箱詰め、小袋詰め)をします。
終わったら、果菜類の管理作業。
トマト、キュウリ、ナス、ズッキーニは追肥を窒素分10aあたり3kgで実施。
トマトの防草シートを張って…
トマトとキュウリの摘葉と芽かきをしました。
有機圃場では、果菜類の誘引作業。
また、トマトにオオタバコガが多く発生しているので、見つけ次第駆除しました。
ここらへん、写真撮ってなかったorz
その後は、秋野菜の準備を開始。
128穴黒セルトレイを利用して、元気くんセル専用をいれて、全品種0.5トレイに1粒/1穴播きしました。深さは粒の2〜3倍。覆土はバーミキュライトを利用して、播種後、底面給水を実施。
播種したのは以下の作物たち。
元気に芽が出てくれるのを祈って、この日の作業は終了です。
■作業からの総合農業技術センター視察(場農大73日目 8/4)
この日も作業のスタートは収穫から。
ナス、キュウリ、トマト、ズッキーニとナス科のパプリカ、シシトウ、万願寺トウガラシ、ハラペーニョを収穫しました。農業体験参加者のお土産にするとのことで、調製せずにコンテナのまま保管です。
その後はナス科の誘引作業。
そしてパプリカの整枝と誘引作業。
さらに、ナスの更新剪定(近頃は行わない技法で、かつて施肥等の基準が不明瞭だった時に、ナスを休ませて秋口まで収量を確保するために行っていた剪定方法だそうです)を実施。
有機圃場では、ニンジンを収穫し…
果菜類を収穫し…
次年度に向けて、米ぬかを施肥してトラクターで耕耘しました。
米ぬかは圃場のわきに袋に入れてあったのですが、虫マニアの先生でもよくわからない虫が大量発生してました(笑)
午前中余った時間で、販売実習に向けた作業も行いました。
午後は、特別講義ということで、双葉にある山梨県総合農業技術センターに移動して、研究結果を聞いて、センター内の圃場を紹介してもらいました。
伺った研究結果は以下のとおり。
- 水稲の玄米外観品質を安定させる新配合肥料
- 硬質小麦ゆめかおりの穂肥診断基準
- 夏秋どりイチゴの新品種育成
- 早出しスイートコーンの低温障害を軽減するためのトンネル管理技術
- 富士北麓地域における夏秋どりスイートコーンの倒伏軽減技術
- アスパラガスの冬季連続伏せ込み栽培
- ヤマトイモについて
- 花き(ピラミッドアジサイ、ミニコチョウラン、シンピジウム)について
- リン酸・加里成分を低く抑えた環境にやさしい肥料の開発
- 富士北麓地域におけるスイートコーンを基幹とした3作1回施肥
- 安心安全な県産農作物供給のための取り組み
- キュウリ褐斑病菌の薬剤耐性と有効薬剤
- シクラメンに発生した新病害(ピシウム根腐病)の発見と対策
- 自分の畑は自分で守る:簡易電気柵の開発
- 黒色防鳥糸によるカラス被害防止技術開発
時間もないので、駆け足で研究概要と効果を聞きました。
研究結果は、レポートの形でホームページにまとまっているとのことで、時間を見つけて読もうと思います。
(全然関係ないですが…年度ごとに研究結果が載っているをできれば作物毎にしてもらった方が関心のある分野のみを追えて楽ちんと思ったりします…変えてほしい(笑))
その後、センター内圃場見学です。
側枝更新剪定をしたナス。
稲の試験場。山梨には独自品種はないので、他県の品種を県内で生育できるかどうかを試験的に行っている。また、農薬のテストをしているとのこと。
トマトハウスは夏場の温度調整のために、ハウスに灌水チューブで水をかけていました。かけている間は3℃ほど、温度が落ちるとのこと。
イチゴのハウス栽培。中に灌水チューブが入っていて、とっても水はけのよい土壌にしているらしい。
トウモロコシの試験。毎週定植を行い、いつ頃が適期なのかの見定めを行っているとのこと。
と、研究の一部に触れて、農業も科学だな~と感じて、この日は終了しました。
■急ぎ足で台風対策(農大74日目 8/7)
この日も当然、果菜類の収穫から開始。
ですが、台風が迫っているとのことで、急ぎ足。
万願寺トウガラシは農大圃場だと生育が良くないようで、本来ならこの3倍ほどの大きさが欲しいみたいです。
果菜類等、色が入るものは、木で成熟させるのと、追熟させるのとでは味が全然違うので、売り方も木で成熟だとそれだけで商品価値があがるとのことでした。
有機圃場での作業も、露地の果菜類収穫及び管理作業。ここも急いで実施。
加えて、以下の作業も実施しました。これも急いで実施。
- ハウスの果菜類収穫及び誘引
- ネギの株の近くを手で除草し、BM鶏糞1袋施肥し、エースローターで土寄せ
- ニンジン播種(ごんべえ利用) ※有機の場合は事前に透明マルチで太陽熱消毒(虫を殺す、雑草を殺す)を最低でも2週間行った上で(出来れば1ヶ月)、播種機でまく
ここまで急ぎ足で作業していたのは台風対策をするため。
慣行果菜類(トマト、キュウリ、ナス、その他ナス科)について、出来る限り誘引作業を実施。テープナーで、成長点等を誘引して、暴風雨による枝折れ等を防止しました。
ここまで終わって、雨脚も強くなってきたので、格納庫にこもって作業。
収穫したものは、慣行・有機双方ともに出荷調製。
それが終わってからはちょっとした座学。
まずは、台風対策のポイントというか、台風の時はどんな作業が必要かを教わりました。
メインどころとしては…
- 傷付く等の影響を考慮して早めに収穫してしまう(JAでもそういった指導をされる場合あり)
- 山梨県でも台風対策をまとめたものが提示されている ⇒ 山梨県/農業気象災害
- トマトの雨除け等は、風で飛ばされるなどの被害を避けるために、外してしまうこともある。特に風で資材が飛ばされるとなると、周りにも被害があるので、自分たちだけのことを考えないことが大切。
- 台風、大雨の前後で殺菌も重要になる。傷んだところから病気になる可能性もあるため、それを防ぐ。
などなど。
また、市場出荷について、初回の出荷での売値が安かったことから、信用してもらえるために何をして行くか、良いものを、出しながら認めてもらうために、苦しくても市場の人とコミュニケーションを取ることが大切だよね!といった話を伺いました。また、農協に出すにしても産地に入って、産地のモノを作らないとブランドがないため売れない。そういう面も考慮して営農計画を立てる必要があるよ、ということも聞きました。
次は話変わって「ひもとうがらし」について。
- 緑色で直径5ミリぐらい、長さ10〜15㎝で収穫する。
- 大和(奈良)の伝統野菜。
- 柔らかく甘みがあります、シシトウのような苦味がない。
- 油と相性が良く、天ぷら、炒め物に向く。
- 取り遅れは皮が固くなり、辛味が出る恐れあり。
うん、なんか美味しそう。早く収穫して食べたい!という気になりました。
最後に、管理作業の重要性。特に、適期作業の重要性と新規就農時に陥り易い失敗ポイントというのを伺いました。
実は、この日の台風対策作業でズッキーニの葉かきを途中まで行ったが、それを辞めて育苗中のものだけを管理し、その他は諦めました。これは時間が限られている中で自分の時給を考えた上で、どこに工数を注力すべきかということを考えた上での判断が重要だよねと。
すでに倒れてしまっていて、茎が腐って実も余りなっていない苗を管理するよりも、これからまだ成長が期待できる苗に対して、自分の有限の工数を割いた方が良いよねと。
この判断ができないと、適期遅れのものに注力してしまったり、あまり生育の良くないものに注力してしまい、折角お金の取れる品質が良いものが他にあるのに、そこに力を入れられないということになります。
新規就農時に陥りがちな失敗ポイントとしてはここの判断を誤ることがあるそうで、折角育ててお金を投資した作物だから諦めきれず、全部収穫しようとしてしまうが、そうすると、全ての作物が適期を外れてしまい、結果的に悪い方向に行ってしまうそうです。
肝に銘じます。
ここまで教わってこの日は終了でした。
果菜類の収穫と出荷調製に追われながら、どんどん管理作業も入ってきて、天候次第では台風対策等の追加作業も入ってくるこの時期は、忙しい!!!
と、実感した3日間でした。