山梨農業移住日記

2017年より、都心から山梨に移住し、農業を学び始めました。学んだこと等を備忘としてブログに残していきたいと思います。

法律、電力、栽培方法、機械、土壌について学びながら、圃場作業した4日間(農大61,66,67,69日目)

今回は4日分をまとめてご紹介。

基本は座学についてですが、途中圃場に出ての栽培実習のお話もあります。

少し長いですが、お付き合いくださいm(__)m

 

■法律5つを学び、電力問題について考える(農大61日目 7/19)

午前中は農業法規のお勉強。

果樹農業振興特別措置法、野菜生産出荷安定法、種苗法、農作物検査法、食品表示法の5つの法律について学びました。

 

果樹農業振興特別措置法は、昨今の経済状況や消費者ニーズ等を鑑みて、6次化等も視野にいれて、果樹生産をしていきましょうね、というもの。(だと理解。)

果樹施策の概要:農林水産省

 

野菜生産出荷安定法は僕にも関係あり。

野菜生産出荷安定法:農林水産省

「この法律は、主要な野菜について、一定の生産地域におけるその生産及び出荷の近代化を計画的に推進するための措置を定めるとともに、その価格の著しい低落があった場合における生産者補給金の交付、あらかじめ締結した契約に基づきその確保を要する場合における交付金の交付等の措置を定めることにより、主要な野菜についての当該生産地域における生産及び出荷の安定等を図り、もって野菜農業の健全な発展と国民消費生活の安定に資することを目的とする。」
というのが目的の法律で、消費者が相対的に多くなることが見込まれる野菜について、指定野菜として定義し、それを生産する地域を指定産地とし、生産出荷の安定などをはかります。
就農地候補の南アルプス市南湖も、夏秋きゅうり(7月~11月)、冬春きゅうり(3月~6月)の指定産地となっています。
 
種苗法は、品種の育成と振興、流通の適正化を図ることを目的としたもの。
「勝手に苗を外国とかに出しちゃダメ」というルールをご存知の方もいるかもしれませんが、それはこの法律の規定によるもの。山梨に比べて、長野県は先進的で登録品種も多いそうです。
 
農作物検査法は、読んで字のごとく農作物の検査に関する法律です。
 
山梨県独自のものとしては、山梨県青果物標準出荷規格があります。生産者としては、自分の生産する作物の標準出荷規格は覚えておかないとですね。
 
 
食品表示法は、販売する食品の表示について、基準等を定めている法律。
 
加工品は要注意です。ジャム、ジュース、ピクルス等々。自分で加工・販売する時は、県に確認をすること!と言われました。
 
それぞれ、内容を理解しておく必要があるな~と思いながら、必死にメモ取ってました(笑)
 
 
 
午後は、特別講義。
「農業と電力について」です。
 
平成23年に起こった東日本大震災の際に、ライフライン(水、電力)がストップし、物流もストップすることで食料確保も難しくなったそうで、この経験を機に、農家においても自家発電というものの重要性を認識し、自家発電を行うことも必要になってきた。とのこと。
ソーラーシェアリングもよく耳にしますね。
 
農地に設置する場合は、一時転用の許可が必要で、支柱は軽量で取り外しが容易なものである必要があり、コンクリートで固めるのはだめ、営農が適切に継続されることが要件となっています。
 
太陽光以外には、
風力…
 
水力…
 
 
なんてのもありますね。
地震に限らず、台風や大雪なんかでもライフラインが止まる可能性があるので、営農するのであれば、リスクへの対応を検討しなければ!と思った次第です。
 
 

■機械の扱いを学び、ハウスと作物を知る(農大66日目 7/26)

午前中は、農業機械の講義。
伝動装置、作業機の構造と利用(耕耘整地用機械、稲作用機械、野菜・畑作用機械)について学びました。
 
 
「作業時は圃場を確認して、どういう運行方法を用いれば良いかをイメージしておくとよいよ~」とか、「旋回する時には必ずロータリーを上げること。上げないと土が外側に流れて中央が低くなってしまうよ」とか、実際に圃場で機械(特にトラクター)を扱う時の注意点を教わりました。
 
「稲作は基本的に年1回なので、各種機械を使ったら、きちんとメンテナンスをすること。特に水洗いして天日干しして、ガソリンを抜いておくのを忘れずに。」
「農業機械は、日進月歩で進化していっている。そのため、新しい機械の情報をきちんと取得しておくことが大事だよ。」
というアドバイスも忘れずにいたいと思います。
 
午後は、栽培概論。
 
作物の話の前に、遮光冷房用の資材・機器と施設園芸について学びました。
高温対策としては、遮光、換気、冷房の3種類の方法があり、遮光としては、遮光フィルム、噴き付け遮光資材(主にガラス室)、近赤外線遮断フィルムがあります。
冷房はミストで行うが、山梨ではあまり普及していないそうです。暖房はヒートポンプの普及が進んでいて、地中熱交換ハウスなんてのもあるそうです。
 
施設園芸は複合環境制御というのが重要になります。
農大では、体育館の近くのポールに、日射計、風向計、風速計、温度計、雨量計があり、そのデータに応じてハウスの制御を行っているそうです。
確か、富士通さんのものだったはず。

jp.fujitsu.com

 

自分の圃場にもこ~ゆ~の入れたいな~。。。なんて羨ましく聞いてました(笑)

 

作物の話は、アブラナ科野菜の栽培について学びました。

具体的にはキャベツ、ハクサイ。

キャベツって、生で千切りにして食べるのは日本だけなんですね。

 
今年は、それぞれすごく高い値段がついてて、びっくり…
こういう時のためにも、自家用の野菜を作っておかねば!!!
 
 
 

■土づくりの奥深さを垣間見た午前、圃場で販売に向けた作業に追われた午後(農大67日目 7/27)

午前中は、土壌肥料の講義第1回。
土の管理が目的ではなく、作物の根がきちんと育ち、養分を吸収し、作物が十分に成長することが目的ということで、目的をはき違えないように要注意です。
 
作物に必要な要素としてはN(窒素)、P(リン酸)、K(カリウム)があり、消費量的には、K>N>Pという順番になるそうです。
N(窒素)、P(リン酸)、K(カリウム)、Mg(苦土)、Ca(石灰)が主力養分と呼ばれます。
 
 
有機態を無機態に変化させるのが微生物で、1g中に億単位の微生物が存在しているそうです!!
そのため、土中に微生物の多様性+分住を持っている方がよく、最近耳にするEM菌なども微生物の一種です。
 
 
もう少し突っ込んだ話もありましたが、ここではさわりだけ。
とにかく、マニアック。
土って極めるとここまで考えることができるのか!とびっくりします。
逆に、自分も農家になるのだから、そこまで考えないとな…なんて思いながら講義を受けてました。
 
午後は、栽培実習ということで、圃場で作業です。
作業のまえに、情報共有ということで、今後の販売実習に向けて販売モデル(AIDMA、AISAS等)のお勉強。
 
それが終わったら、これから圃場の担当分けをするとのことで、自分たちの班が担当する畝の発表がありました。
これ、間違っても自分たちのところだけ酷いなんてことにならないようにしっかりやらねば(笑)
 
更に、スイートコーンの収穫適期の見分け方について座学。
実際には適期を判断するのが難しいそうで、房を触って、先端がきちんと膨らんでいるものが適期。調製の際は、茎の部分を実の流れに沿って斜めにカットすると見栄えが良いとのことでした。
 
作業としては、販売実習に向けた規格・値段・袋サイズを確認し、
 

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実際に、袋詰めしてみます。

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ちょっとずつ、想定規格と販売するものでサイズ感が合わなかったり見たいなところもあるので、実際にやってみるのが一番いいですね。
 
そして、最後にトマト管理作業ということで、収穫と芽かき、誘引、摘果(害虫、尻腐れ等)を実施しました。

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で、管理作業中に、オオタバコガがトマトを食しているところに出くわしました。

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 こんな感じで、この日は終了。
 
 

■病害虫のお勉強と販売実習の振り返り(農大69日目 7/31)

午前中は、病害虫防除の時間です。
前回の講義で伺った病害虫防除所について、もう少し子細にお話を聞きました。
病害虫防除所は各都道府県に配置されていて、山梨県病害虫防除所は、植物防疫法 第32条第1項の規定および、山梨県行政機関等の設置に関する条例 第14条の規定に基づき設置されています。
農家にとって重要な防除基準や、サポートシステム等を提供していて、予察員という人が病害虫の発生予察を行い、ネット上などにこの情報をアップ、周知してくれます。
この発生予察をベースに、病害虫の予防対策などを行っていく事が大事とのことでした。
 
次に、病害虫の観点から日本全国の地域別の違いなんて話も聞きましたが、ここでは割愛。
 
最後に、トマトの病害虫ということで、病害診断フローを教わりつつ、青枯病、半身萎凋病、尻腐れ等の話を聞きました。
 
 
 
午後は、栽培実習。
 
 
 
はじめに甲府駅県庁防災新館で開催した第1回の販売実習の振り返りをしました。
「告知しないと、そもそも人が集まらない。」「レジ周りが並んでしまったので、もう少しスムーズにできるよう改善が必要」「キュウリ、ズッキーニの適正サイズが少なかった。管理の検討が必要。」「写真付きのポップがあったと良かったかも。」と、意見も活発に出て、次回に向けて、あれしよう、これしようと思いを巡らせました。
 
その後圃場に出て、トマトの雨除けを設置し、トマトの管理作業を行い、長坂駅にある直売所に出荷した野菜の売れ残りの片付けをしました。
が、写真がない!!すみません。。。
 
この日はこれで終了です。
 
 
講義に実習にと頑張った4日間でした。
講義も様々な分野で必要な知識が出てくるので、覚えておくのが大変。
こういう時は文明の利器に頼るしかないななんて思ってました(笑)
 
次回も栽培実習のお話になると思います。