山梨農業移住日記

2017年より、都心から山梨に移住し、農業を学び始めました。学んだこと等を備忘としてブログに残していきたいと思います。

鳥獣との戯れ、奇麗な虫と定植・管理作業(農大58日目、農大59日目)

今回は、鳥獣害講義と栽培実習についてです。

 

■鳥獣害対策は地域で活動することが大切(農大58日目 7/13)

この日は鳥獣害の講義の初日。
先生は、NPO法人甲斐けもの社中の山本先生です。
 
 
まずは、導入ということで、鳥獣害についての座学からスタート。
 
日本全国の鳥獣害被害は年間200億円と言われていますが、あくまで報告のあった数値ベースのため、実際は3,4倍ぐらい被害あるのでは?とのこと。報告されていない数字の方がはるかに多いですね(^^;)
 
行政職員は定期的な異動があるため、ノウハウの蓄積がされず、根本対策には取り掛かれないことが多く、猟友会は元々趣味でハンティングを行っていた方々の集まりということが多いとのこと。
そういう環境の中で、鳥獣害のスペシャリストとして、獣害が起こったから、すぐに何か手を打つということではなく、起こっている事象の根本原因を究明し、それに応じた対策を打つことを念頭にワークショップなどを行いながら、地域としての鳥獣害対策を進めているそうです。
 
対策における優先順位としては、防除と捕獲がメインで、狩るのは本当に最終手段とのことでした。
 
また、 現場にいる住民の自衛力が加害群れを居つかせないようにすることにつながるということで、地域として鳥獣害対策に取り組み必要性があるそうです。
 
野生動物が集落に居つく原因になる食資源としては、季節によってさまざまだそうで…
 
  • 春 : お墓のお供え物や花、集落周辺の桑の実
  • 夏 : かじられて畑に置きっぱなしの野菜、果物くず、生ごみ
  • 秋 : 取り切れない/不在地主の放置された柿、ゆず、栗
  • 冬 : 白菜の外側、野菜くずの畑への設置
 
上記のような、人間にとっては廃棄物でも獣にとっては餌というものが多く、これが集落に野生動物が近づく、住み着く原因になるそうです。
なぜなら、野生動物は、大半の時間を食料探しに充てています。そのためこういった食料が必ずある場所というのを見つけると居座ってしまうのだそうです。
 
対策の検討にあたっては、環境省ガイドラインに沿うとよいらしく、現状分析(加害群数、頭数の把握、捕獲数の根拠、行動圏の変化の観察等)をして、計画をたてて、実行し、確認し、再度計画を練り直すというPDCAサイクルをきちんと回すことが重要だそうです。
 
安易に捕獲等の頭数を増やせばよいというものでもなく、逆に群れが分裂して被害が増えるという可能性もあるため、野生動物が畑に近づかないように行動圏を変化させるような対策を打つ必要があるとのこと。
ここらへんは、素人考えだと、捕獲だ~!!ってなってしまいがちですが、うまく野生動物と人間の住む環境を区分けするイメージを持って、対策に当たらないといたちごっこになってしまい、人間側が疲弊して終わりになるそう。
肝に銘じます。
 
また、被害が発生する要因も様々で、環境的要因としては、森林管理の法規、農地への植林、個体数の増加、平地への進出等。社会的要因としては、山際の人口減少、材木価値の低下、過疎高齢化、集落機能の低下等が挙げられます。
集落の存続も含めて検討が必要になり、短期的な対策のみではなく、長期的な対策も検討する必要があります。
先進事例よりも、問題事例の検証をすることが大切と説かれていました。
 
助成金補助金等を用いて、大規模な柵を張る等の対策をするのは良いですが、そこで終わりとなると全く無意味で、柵を張って終わりではなく、あくまで防除のスタートラインにたったという認識が重要です。
柵は現在の管理状況の調査を一度整理してから、管理可能かも含めて検討する必要がある。
 
と、こんな感じで鳥獣害対策を考えるにはどうすべきか?という導入部分を学んだうえで、さっそく実習に入ります。
 
農大近辺の獣道を探す!というワークをしました。
糞や足跡といったものを手掛かりに、どこを通って農大の畑に出没するのかを探りました。
 

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この大きなマップに、自分たちで見つけた獣の足跡を、付箋で張っていきます。

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実際に、探している風景。

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途中、足跡の多いところに、センサーカメラを設置しました。

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帰ってきたら、実際に付箋を張り張りして、獣の侵入経路と、被害の有無をマップ上にプロット。

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ここまでやって、この日の授業は終了でした。

ちなみに、先生が使っているドローンも見せてもらいました。

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講義から、実際に圃場を歩いてのマッピング作業と、あわただしく動きつつも、実際の分析の仕方を楽しく学べた一日でした。

 

 

■管理作業に定植に夏場は作業がたくさん!!(農大59日目 7/14)

59日目は栽培実習。

朝一は先生から珍しい虫を見せてもらいました。ルリボシカミキリ。

奇麗な色ですね。中々逃げずにずっとテーブルを行ったり来たりしていて癒されました。

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作業は有機圃場からスタート。 
まずは、スイートコーンの追肥を実施しました。
 
 

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続いて、ナス科の観察をして、顔色良く、樹勢が回復したことを確認し…
トマト、キュウリのわき芽かき、誘引、摘果をしつつ、十分に育った実を収穫しました。
 

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収穫したキュウリさん。

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続いて、ズッキーニも収穫。

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古い葉の摘葉も行いました。

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果菜類が終わったら、ニンジンとバレイショ(ジャガイモ)。
試し掘りしてみよう!ということで…
 
 
 

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うん、あと2週間程度で、適期かなーなんて判断をしました。
 
ちなみに、ニンジンは、乾燥した状態だと抜くのが大変で茎が折れてしまいます。そのため、雨が降ったあとや、灌水をたっぷりしてから収穫するなど、方法の検討が必要です。
 
バレイショ(ジャガイモ)はジャガイモは地上にトマトのような実がなって、その実が落ちた頃がよいそうです。

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または、葉の色が黄色く変色した頃。
収穫は保存を考えると、雨の日は傷口から腐ってしまうため、避けた方がよいとのこと。
 
試し掘りを終えたら、ネギの作業です。 
除草して、追肥して、

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土寄せしました。

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ネギが終わったら、ハーブ類の管理。
バジルとパクチーを摘芯します。
バジル美味しそう!!!

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最後にハウスのトマトとコマツナを観察して、午前中は終了です。
トマトは、2本に仕立てた後、順調に成長中。アブラムシが多かったです。

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コマツナは残念ながら雑草に負けてしまい、ほとんど生育していませんでした。この圃場でのこの時期のコマツナ播種はダメですね。

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午後はトマトの支柱立て、キュウリの支柱立てをしつつ、定植ラッシュ。
トマト、キュウリ、インゲン、ササゲ、カボチャ、ズッキーニを定植しました。
写真はトマトさん。

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最後にスイートコーンの除房をして終了です。

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作業が多い!!!
ので、終わった後はくたくたです。でも、なんかやり切った感があっていいですね。
終わった後のビールも美味しい(笑)
そんな一日でした。