山梨農業移住日記

2017年より、都心から山梨に移住し、農業を学び始めました。学んだこと等を備忘としてブログに残していきたいと思います。

座学ラッシュ!(農大54,56,57日目)

今回は7月半ばの座学ラッシュのお話です。

お勉強Dayの内容なのであまり写真がないかもしれませんが、お付き合いくださいm(__)m

 

■農大54日目(7/7)

午前中は農業法規の授業。
「農業振興地域の整備に関する法律」について学びました。
 
農地法で農地が各農家の所有になりましたが、時代とともに工業化が進み土地の開発も進み、徐々に農地が飛び地になることが増えていったそうです。そのため、農地を保護することを目的に制定された法律とのことです。
農業振興地域内の農用地区域に認定されると、農地等の転用は原則として認められず、また、開発行為の制限を受けます。農用地区域とは、知事が指定した「農業振興地域」の中で指定される区域で、農業基盤の整備を進める区域であり、農業関係の公共投資が重点的に投入される区域となります。
そのため、農地法では、農用地区域内の農地について、宅地転用や宅地転用目的の売却を厳しく禁止しています。
 
山梨県でも当該法律に基づいて色々と計画をたてて、土地の農業上の有効利用と農業の近代化のための施策を進めようとしています。
 
 
農地を守る制度(農業振興地域制度)がある一方で、農地を崩す制度(農地転用許可制度)もあるので、どうしても運用上のグレーゾーンが発生してしまうため、迷う部分についてはどうすればよいか明示されています。
 
 
地域として、農地を守る崩すといったことを大きな枠組みで考えていかないとだめですね。
 
この日の授業は、プラスアルファで、支援事業についても学びました。
  • 果樹園の改植等を支援する事業
  • 醸造甲州産地育成強化事業
  • 果樹王国やまなし就農支援事業
  • 産地パワーアップ事業
  • 農業経営承継支援事業
  • 山梨県荒廃農地等利活用促進事業費補助金
  • 機構借受農地整備事業
山梨といえば果樹!なので、果樹に関する支援事業が多いですが、こういったものも活用していくのが大事ですね。
 
午後の授業は、病害虫防除。
作物を育てる過程には病気や虫と戦いが待っているので大切です。
 
山梨県病害虫防除所というところがあって、病害虫防除基準なるものを出してくれています。
これをベースに考えると良いとのこと。
 
農薬については、ポジティブリスト制度の制定により、残留基準が厳しくなり、それに伴い病害虫防除基準等も大きく変わったそうです。
 
 
畑と聞くと、自然をイメージする方もいると思うのですが、畑は人工物なので本来の生態系から離れたものです。
そのため、自然とは異なり、特異な病害虫も発生しやすいというのが農業の難しいところ。
病気や害虫に関する知識、農薬に関する知識をきちんと身に着けて、むやみやたらにまかないことを徹底したいな~と思った次第です。
最近では、有機農業も少しずつ広がってきていて、コンパニオンプランツ(共栄作物)、バンカープランツ(おとり作物)といったものもあるので、農薬に頼らない防除というのも大事ですね。
 
 
山梨は四方を山に囲まれており、害虫を運ぶような経路が多くないため、比較的生態系が整っているそうです。(九州、四国地方では、韓国等から飛来する生物への対応が必要になる。らしい…です。)
 
■農大56日目(7/11)
午前中は特別講義で、農大先生による鳥獣害の講義でした。
 
冒頭は鳥獣害対策の歴史からスタートし、シカ、イノシシ、サル、ハクビシン、アライグマ、カラス等の各鳥獣の特徴を学びました。
 
古来から、人々は農作物を荒らす害獣への対策を練り、戦ってきました(作を設ける、穴を掘る等)が、技術等が進化した現代でも、改めて古来の方法に学ぶというのも大事だそうです。
 
展示会にいくと色んな対策グッズ等が見れますが、他県で効果があった方法も、山梨県で同じ効用を得られるかというと、そうではないそうで、土地によって、生物の特性も変わるため使ってみないとわからないというのが正直なところなようです。
 
ちなみに…シカ、イノシシ、サル等、野生生物は、病原菌等を保持しているため、むやみに素手で触らない。また、生食は絶対にだめ。
ということで、安易に触れようとするのはご法度ですね。プロに任せるのが一番です。
 
なお、害鳥図鑑、鳥害痕跡図鑑等がある、こちらのサイトはすごく参考になるとのことで、時間を作って眺めてみよ~と思ってます。
 
午後は、植物生理のお勉強。
光化学反応の仕組み、呼吸と解糖系とクエン酸回路、植物ホルモン、発生と成長といったことを学びました。
ん~、生物、化学の授業をきちんとやっておけばよかったな~と、説明を聞きながら思いました。
 
植物がどのように成長しているのか、何をどう摂取してどう分解して、エネルギーを作って、生きているのかということを理解しないと、なぜそういう栽培方法なのかというのがしっくりこないよなと。
でも、そこを理解するのって難しい、と感じたのでした。
 
■農大57日目(7/12) 
午前中は農業法規の講義で、食料・農業・農村基本法について学びました。
 
 
この法律は、昭和36年に社会経済の動向や見通しを踏まえて、我が国農業の向かうべき道すじを明らかにするものとして農業基本法として制定されました。
しかし、経済社会が急速な経済成長、国際化の著しい進展等により大きな変化を遂げる中で、食料・農業・農村をめぐる状況は大きく変化したため、平成11年、農業基本法に代わる農業政策の基本法が制定されました。
 
食料、農業および農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、国土や環境の保護など、生産以外で農業や農村の持つ役割を高める事、食料自給率を高める事などを目的として基本理念と基本計画を定め、国と地方自治体の責務を明らかにすることとしています。概ね5年ごとに、基本計画を変更するものとしており、新たな計画は平成27年4月に策定されています。
 
 
 
上記リンク先を読んでいただくと「6次化しましょう!農地集積しましょう!基盤整備しましょう!コストを下げましょう!」というのが国の施策として計画されていることがわかります。
 
また、この法律に付随して、TPPと関連施策、法案についても学びました。
農業のGDP1.5%を守るために、残りの98.5%が犠牲になるというのは大きな誤りで、家電と自動車の輸出も1.25%と同程度であり、他の分野が犠牲になるということはないとのこと。また、開国とも呼ばれるが、既に輸出入は多く行っており、関税率は他国と比較しても高くはない状況で、関税撤廃により輸出が増えるという話もあるが、輸出入の最大の取引先であるアメリカの関税はそもそも低いため、そこまで影響はないそうです。
TPP=農業問題ではなく、工業、金融サービス等あらゆる側面が交渉対象であることを認識しないとダメみたいです。
 
都道府県としてはどうなの?という点については、山梨県だと「新・やまなし農業大綱」なるものを策定して、今後の農業振興をはかろうとしているようです。
 
午後は、栽培概論です。
メロン、スイカ、カボチャの栽培に関して学びました。
 
農業技術検定試験の問題でも、よく見かけるのが、メロン、スイカです。
スーパーとかでは果物扱いですが、野菜です(笑)
自家用として、育ててみたいな~なんて思います。
美味しいですもんね、どちらも。
 
と、こんな感じで、座学ラッシュの7月中旬でした。 
座学だと、一日頭に色んなことを詰め込むので、疲労感が半端ないです。
実習の方が体を動かしてリフレッシュできるので、なんだか疲れないんですよね。

でも、知識は知識で大切なので、きちんと覚えておきたいと思います(^^♪